遺産分割の対象に「なる・ならない」財産とは?
遺産分割の対象となる財産
1,高額療養費
医療費の自己負担額が高額になった場合において、自己負担限度額を超えたときに支給されますが、この入金が死亡後にあったときは相続財産となります。
医療費控除の対象から控除します。
2,所得税の還付金
被相続人に係る所得税や住民税の還付金で死亡後に入金されたものは相続財産に該当します。
3,還付加算金
被相続人が申告等手続きをした後に亡くなった場合において、その手続きに基づき還付加算金を取得したときは、その死亡日までの期間にかかる金額は相続財産に該当します。
4,国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料等の過誤納還付金
死亡後に生前に納付した各種保険料の過誤納金が還付されることがありますが、こちらの還付金はただの返金となりますので相続税の課税対象となります。
5,高額療養費
なお、所得税は課税されません。
遺産分割の対象とならない財産
1,相続開始後、遺産分割が確定するまでの不動産賃料収入
各相続人が法定相続分に応じた金額を取得することとなるので遺産分割の対象となりません。
ただし、法定相続人全員が遺産に含めると合意した場合は、遺産分割の対象とできます。
この場合は、その不動産を取得する相続人が、相続開始時にさかのぼってその賃料を取得することとなります。
2,生命保険金
保険金受取人が取得します。
ただし、生命保険金の額が遺産の総額に対して大きい場合、その受取人に対する特別受益として扱われる可能性があります。
3,死亡退職金
会社の退職金支給規程で、死亡退職金の受取人が定められている場合、相続財産ではないので遺産分割できません。
4.国民年金の遺族基礎年金
国民年金法によって、遺族基礎年金を受け取ることのできる遺族の範囲と遺族の順位が定められています。
5.厚生年金の遺族厚生年金
厚生年金法によって、遺族厚生年金を受け取ることができる遺族の範囲と遺族の順位が定められています。
6.労災保険の遺族補償給付・遺族給付
労働者災害補償保険法によって、遺族補償給付・遺族給付を受け取ることができる遺族の範囲と順位が定められています。
7.労災保険の葬祭料・葬祭給付
被相続人の埋葬を行う者に支給されます。
8.健康保険の埋葬料・国民健康保険の埋葬の給付
被相続人の埋葬を行う者に支給されます。国民健康保険の場合には、葬祭費、健康保険の場合には、埋葬料、埋葬費といった名目で死亡後に5万円などが支給されます。
これらは「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。」と規定されているので相続税も課税されません。
9.未支給の国民年金・厚生年金
相続人の固有財産と考え、相続人の一時所得となります。
10.雇用保険の未支給の失業等給付
失業等給付の支給を受けることができる方がお亡くなりになった場合に、その方に支給されるはずの失業等給付で、まだ支給されていないものがある場合、一定の遺族に支給されます。
雇用保険法で遺族の範囲と順位が定められています。
11.労災保険の未支給の年金給付
労災保険の年金給付の支給を受けることができる方が、お亡くなりになった場合に、その方に支給されるはずの年金で、まだ支給されていないものがある場合、一定の遺族に支給されます。
労働者災害補償保険法で遺族の範囲と順位が定められています。
12,準確定申告の所得税の還付加算金
被相続人の準確定申告に係る所得税の還付加算金は、確定申告書の提出により原始的に取得するものであることから相続人の固有財産となります。