つぶれる会社の法則
売上げは伸びているはずなのに…
売上は順調に伸びているはずなのに、お金が増えるどころか減っている。
「売上」と「月末の支払い」だけが気がかりな社長が陥るパターンです。
ここでは、「つぶれる会社」のシナリオをご紹介します。
CASE:技術力があったのに「どんぶり感情で倒産」
「至急相談したいことがあるんです」と電話をしてきたのは製造業の三島社長。
1年前、弊事務所に問い合わせをしてくれたのだが、結局は社員の一人に経理をさせるということでご無沙汰していた。
「売上は伸びているはずなのに、お金が増えるどころか減っているのです。このままでは月末の支払いができない」
私は詳しく話を聞こうとしたが、三島社長は「売上は伸びているはずだ・・・」と繰り返すばかり。
「売上」と「月末の支払い」だけが気がかりな社長が陥るパターンだと思いました。
それは、
- 売上第一主義に走りすぎて、「粗利益」を重視しない
- 売上げが伸びれば「給与」も上げている
- 「売上」と「通帳残高」しか気にしていない
- 「給与の支払日」と「月末の支払日」がコワイ
一言で言うと「どんぶり経営」なんです。
私は早速、三島社長の会社へ訪問。1年分の経理処理をします。結果は予想通り。
- 営業は売上第一主義でノルマがきつく、給与も売上連動の成果主義
- 社員は売上を上げることしか興味がない
- お客の言われるがままの値引きで、粗利益率は前年の30%から25%に低下
- 社内ルールを無視した契約
- 入金遅れもほったらかし
- 支払いばかりが増えている
さらに何かおかしいと思い、経理担当者に話を聞こうとしたが、「親戚が急病で田舎に帰る、と言ったきり連絡がない」これでピンときました。
経理担当者の横領でした。
決算終了後、私は三島社長と経理担当者の3人で話し合う時間を持ちました。
もちろん経理担当者の悪事は許されるべきではありませんが、どんぶり経営をした社長が一番悪い。
「せっかく大企業がうちの技術を認めてくれて、これからだったのに…」
三島社長の無念さが伝わる一言でした。
なぜどんぶり経営は危険なのか?
答えは、
・請求の未回収に気づかない
・赤字なのに値引き販売をしてしまう。
・無駄遣いをしてしまう
など、ルーズでだらしなくなり、損をしつづけていくからです。
さらに、数字が落ちているのに気づかない。これは「ヤバイゾ!」とアナウンスする人がいないから、社長と社員が危機感を共有できないのです。
いつまでも好調な会社はありません。
「会社の数字」に無関心で、不調になってもそれに気づかず、対策を打てないでいると、会社は窮地に陥ります。